ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

だけでなく、実際に法律を適用するところまで進めていく必要性が明らかになった。さらに、リプロダクティブ・ヘルスサービスや家族計画の教育を推進し、若者にもアクセスしやすくすること、また、避妊薬(具)を含むすべての物資・設備・消耗品を継続的に供給することも大切である。5.NGOや企業など多様なアクターとのパートナーシップ国連とNGOとのパートナーシップは以前から進められてきたが、市民社会の成熟に伴い、その必要性はますます高まっている。さらに、企業の社会的責任(CSR)が企業に浸透し、株主の利益だけではなく社会に貢献するという考えが広まってきたことをうけて、国連への貢献も期待できる。他にも、議員とのパートナーシップなど、国連が多くのアクターと協力して目標を達成していく例が増えてきた。国連とNGOのパートナーシップの例としては、UNFPAとNGOの協力関係があげられる。この協力関係で重要な点は、NGOが持つ草の根ネットワークの活用とNGOによる補完的な役割である(児玉117)。UNFPAの事務所は5つの国を除いて先進国には存在していないが、パートナーNGOが現地事務所の役割を果たしている。資金拠出や政府による政治的な支持を取り付けること、またUNFPAの認知度や活動内容への理解を広めるなど、NGOの役割は大きい。NGOが国連の手のとどかないところまで活動を広め、国連の役割の一翼を担っている。今後もNGOの活躍が国連にとって欠かせないものになると思われる。企業とのパートナーシップの例として、マラリア予防の蚊帳を(株)住友化学が開発し、国連に協力したことがあげられる(勝間134)。マラリアを媒介する蚊に刺されるのを防ぐため、従来は定期的に殺虫剤で再処理する必要のある蚊帳が使われていたが、住友化学の開発によって、再処理をしなくても効果が長く続く蚊帳を使えるようになった。国連の需要に応える商品を民間が開発することは、企業の社会的責任を全うすることにもつながる。このようなパートナーシップが今後他の分野でも多く出ることで、発展途上国などの506