ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回優秀賞族計画のカウンセリングや人工妊娠中絶の予防とHIV/AIDSの治療などのヘルスケアが行われている。リプロダクティブ・ライツでは子どもの数・出産間隔と時期についての「自己決定権」を擁護し、「生まない自由」も「産む自由」も認めている。(池上70)人口増を考えるとき、家族計画の教育は不可欠なものである。これは強制的に子どもの数を減らすのではなく、教育を行ったうえで選択させるものである。また、避妊薬(具)への十分なアクセスも必要である。歴史上最多数の思春期の若者たちが出産可能年齢に入っているため家族計画への需要は高まっている。(UNFPA2005 91)女性の健康と権利を守り、ジェンダー格差を是正し女性の地位向上に努めるのが女性のエンパワーメントの考え方である。コフィ・アナン国連事務総長は「エンパワーされた女性は、開発の最も有効な推進力となり得る」と述べている。国連の取り組みとして、UNFPAは2003年にグローバル・サーベイでジェンダーの平等と女性のエンパワーメントの分野におけるこれまでの実績を評価した(UNFPA200431)。ジェンダーの平等や女性のエンパワーメントのための対策は回答した151の開発途上国の半数以上が取り組んでおり、ジェンダーの平等を推進するために新しい法律を採択したり、現行法を改正して、ジェンダーに基づく暴力の防止と加害者に対する刑罰の強化に加え、性に基づくあらゆる形態の差別撤廃を目指してきたのは評価できる。しかし、MDGsの達成には遠い結果であったことも事実である。国の委員会を作っても、わずか3分の1の国でしか政策の策定とプログラムの導入についての進展はみられず、制度を整えても女性の政治参加は28カ国だけであった(ibid)。ジェンダーに基づく暴力を阻止し、処罰する法律をもつ91カ国のうち、法律を執行しているのは21カ国のみであることも明らかになった(ibid)。ジェンダーへの配慮をカリキュラムに導入したのは13カ国のみで、女子中等学校の数が増加したのは16カ国にすぎなかった。若者や思春期層に対するリプロダクティブ・ヘルス教育を計画し、プログラムを実施していると報告したのは20カ国にすぎなかった(ibid)。この結果から、今後はジェンダー平等と女性のエンパワーメントに向けての法律を作る505