ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回優秀賞染病の蔓延があげられる。働き手がHIV/AIDSにかかることで一家の収入が減少し、そのなけなしのお金を治療費に使うために貧困状態が続く。貧困に苦しむ家族が多いことは、大きな視点でみると国全体でも貧困に苦しむ人が多いことを表すため、開発や発展が目標通りには進まない。このように人口問題を解決することは、貧困や、開発、環境問題を解決することにもつながる。国連は、これらの複雑に絡み合う大きな問題にどのように取り組んでいるのだろうか。次の章では国連の取り組みをみていきたい。3.途上国への教育支援貧困解決の一つとして、MDGsは初等教育の完全普及を掲げている。特に女子は初等教育の機会が男子よりも少なく、識字率のジェンダー格差として現れているため、その是正が必要である。まず、教育への国連の取り組みを振り返ってみたい。1990年の「国際識字年」にタイのジョムティエンで開かれた「万人のための教育世界会議」では2000年までに「すべての人に教育を」と目標を設定した。2000年、セネガルのダカールで「世界教育フォーラム」が開かれ、目標に向けた活動の進捗状況の報告と、今後の展開の方向性が討議された。ここでわかったことは、初等教育分野では大きな進展が見られたものの、非識字問題に関しては人口増加に教育の普及が追いつかず、絶対数を比較すると、成人非識字者は8億7900万人から8億6000万人とわずかに減少したにすぎなかったということである。そこで2001年、国連総会は2003年から2012年までを「国連識字の10年:すべての人に教育を」にすることを決めた。(黒田・横関2-13)ユネスコでは世界寺子屋運動を行い、1989~2005年までに409プロジェクトを実施、寺子屋で学んだ人は約75万人にのぼる。ユネスコがこれまでに支援した国は44カ国で、それぞれの土地にあったプログラムを実施し成功を収めている。寺子屋では単に読み書きを学ぶだけではなく、農業や女性の健康に役立つ知識も教えられており、識字率上昇以外の効果もあげている。例えばネパールでは野菜より収入が高いバナナ栽培に切り替える503