ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
491/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている491ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

第22回佳作クスの向上が当該地域の魅力度を高め、他地域からの協調行動を導く。そこでは核の政治力・外交力は他地域に「軍事的脅威」をもたらすなどかえってマイナスのインパクトの方が大きい。こうしたNPT五カ国以外の国々における新たな国力概念の伸張が、引いては五カ国におけるパワー・ポリティックス見直しへの契機ともなろう。経済貢献におけるこうした実績こそが、引いては国連改革における日本の発言力を高め、1969年の当時の愛知揆一外相による国連演説以来の悲願である常任理事国入りを現実のものに引き寄せる確かな一歩となろう(但し、世上伝えられる国連改革案の中での常任理事国の位置づけと筆者の考えは異なるが、ここでは触れない)。力(武力)の論理にはその背景に冷厳なる現実主義が座りやすい。だが、現実主義は人間の想像力を高めはしない。力の論理が既存秩序の維持を至上命題とするからだ。力の論理が相対的な地位の低下を露わにしつつある今、我々は再度理想主義のもたらす想像力と構想力に期待し、それらがいやおう無しに生み出すだろう既存秩序の破壊と混沌状態に耐えて、新たな秩序が形成される現実に希望を託そうではないか。その際、忘れてならないのはもはや主役は国民国家だけではない、と言う事実である。(参考文献)藤原帰一・大串和雄・遠藤誠治・石田淳編『坂本義和集5:核対決と軍縮』岩波書店、2004高坂正尭著『国際政治恐怖と希望』中央公論新社、1966総合研究開発機構『人口減少と総合国力に関する研究・中間報告-人的資源立国を目指して-』2004NPT関連の情報を提供している外務省はじめ関係機関・団体等のHPThe World Bank“World Development Report 2006:Equity and Development”〃“World Development Indicators 2005”Fortune“Fortune Global 2004”UNDP『人間開発報告書2004』489