ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

帰依。高坂の言う「価値」も含まれる)なり民族的な団結心が、暴力的行為の発生装置化を防ぎうることを、希望を込めて指摘しておきたい。6.核拡散は優れて地球環境問題である以下では「利益(経済)」体系を核問題に適用してみたい。但し、ここで言う利益の体系は高坂の想定とは異なり、必ずしも国家単位で考える必要はない。グローバリズムは地球大の経済活動を実現することで、国家という枠組みを有名無実化するとともに、地域ブロック単位の経済連携を次々と現実のものにしつつあるからだ。共通の利益を保持できる範囲は既に国家の枠組みを超えてしまった、と言えよう。クイズを一つ。「NPT」、「京都議定書」3、そして「たばこ規制枠組み条約」4――以上三つの条約、取り決めに共通する要素、異なる要素は何だろう?前者は比較的簡単だ。核の蔓延、温室効果ガスの蔓延、そして喫煙・吸殻等がもたらす直接・間接の健康被害の蔓延、これらはなんびとたりとも総論としては御免被りたいものだ、と思うだろう。後者はどうだろうか。たばこ規制枠組み条約は、政治的に米国から敵国視されている喫煙大国キューバですら、カストロ首相自ら音頭をとって「禁煙法」まで施行させた。他の国々の対応は押して知るべしだ。後の二つはどうか。NPTの実情については指摘した。南・北対立、北・北対立は激しい。京都議定書もNPTと似たようなものだ。総排出量で世界全体の20%以上を占める米国は、自国のエネルギー・経済政策優先を理由に議定書の枠組みから離脱したままだ。議定書の議長国、日本も産業界を中心に腰が引けている。加えて、未来の排出超大国である中国やインドには“途上国特権”が適用され、削減義務を免除されている。空洞化の実態はNPTにひけをとらない。クイズの答えは以上で十分だろうか?筆者にはこれに、三つに共通の要素として「いずれの対象物も地球汚染物質であり、その対策には全地球的な視点からの長期的な取り組みが不可欠である。手法としては経済的な解決法がベターである」という説を追加したい。4843 地球温暖化対策は地球規模で長期的な視点から取り組むべき課題、との主旨から当面の枠組みとして2005年2月に発効した。これにより、先進国に課された二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減目標は国際公約となり、法的な拘束力が生じた。4喫煙による健康被害の防止を目的に、世界保健機関(WHO)主導で2005年に発効した。