ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第22回佳作PSIの動きとわが国の対応さて、現在PSIには前述の11カ国に加え、シンガポール、カナダ、ノルウェー、ロシアが加わり、さらにデンマーク、トルコ、ギリシャ、ニュージーランドは専門家会合にも参加、実際、PSI活動の基本原則を定めた「阻止原則宣言」を支持する国は60カ国以上にも上っている。また、昨年12月までに、陸上、海上、航空等、様々な形態の阻止訓練を世界各地域において計19回を実施、オペレーション専門家会合も7回行われ、その他PSIへの理解促進と支持の拡大を目指す働きかけであるアウトリサーチ活動を積極的に推進する上で、アジア不拡散協議(2003年11月)や日・ASEAN不拡散協力ミッション(2004年2月)、アジア輸出管理セミナー(2004年10月)などを開催してきている。わが国の参加状況としては、これまで行われている19回全ての各国主催PSI阻止訓練に参加、特に2003年9月に行われたオーストラリア主催の海上阻止訓練には海上保安庁の巡視船などが参加し、また2005年8月のシンガポール主催海上阻止訓練においては、巡視船に加えて海上自衛隊の護衛艦・航空機が参加している。加えて、わが国自身も2004年10月、相模湾沖及び横須賀港内において海上阻止訓練「チーム・サムライ04」を主催、自衛隊の護衛艦を初参加させている。このわが国主催の阻止訓練は、日本政府がPSI活動に積極的に取り組むという姿勢をアピールし、ある一定の効果を上げることには大きく作用した。しかし他方において、国内的な問題で臨検訓練ができなかったという問題が生じ、今後臨検活動を行うための国内法整備が早急に必要であるとの「弱点」も露呈したと評価できる。現在のわが国の法体系では、臨検は集団的自衛権との兼ね合いから、海上警備行動か日本周辺事態での船舶検査に限られるというのがその「弱点」の原点である。ところで、そういった国内事情による「法的制約」が存在する中で、わが国はPSIに対し、法的な面で具体的にどういった対応をしてきているのであろうか。その具体例を示すのが、大量破壊兵器の世界規模での拡散に大きく関与している北朝鮮に対するわが国の対応で471