ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

テロと核拡散のリンケージとその対応策について:PSIを中心に第22回佳作高野雅樹要約冷戦が終結し17年が経過しようとしている。その間我々は、新しい国際システムを模索しつつも、決定的なものを見いだすことが出来ないまま今日まで来ている。そういった状況下において、現在国際社会で懸念されているのが、テロの横行と核拡散である。本論文は、1今日までの核拡散防止努力を振り返り、2テロと核のリンケージに関する分析を行い、3核拡散に対する有効な決定打となり得るPSIに焦点を当て、4核拡散と日本の対応についての意見を述べたいと思う。核拡散問題とは別段新しい問題ではなく、「GNPの0.5%を研究開発費に投資し、自動車工業を持つ国は、数年で核兵器を作れるであろう」というN番目国問題として従来より懸念されてきた。この観点から、核拡散を防止するためにNPTが調印される。NPTは、核兵国内の核保有数増加問題である「垂直拡散」を抑止することはできなかったものの、核の保有国数が増加する「水平拡散」についてはかなり有効に機能した。冷戦期には垂直拡散が主たる核問題であったが、冷戦後は水平拡散の危険性が強く懸念されている。水平拡散が懸念される背景には、1冷戦崩壊による安全保障環境の変化、2ソ連の崩壊、3テログループ向けの拡散、がある。テログループへの核拡散は、1核使用を抑止する威嚇が困難、2テログループが核を使用するリスクは高い、3国家側が受ける不利益は莫大なものから、国家はテログループの要求を受け入れざるを得なくなる、と予想される。今日の核管理は、1テログループの大量破壊兵器入手阻止が最大の目標、2規制の対象461