ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第22回最優秀賞えた。最近の第4世代炉国際フォーラムが選んだ6炉型中に熔融塩炉も入っている。ローレンスリバモア研も協力的で,指導者エドワード・テラー(直後死去)らが最近支持論説を発表した(Nucl.Tech.151,334(2005))。1997年、国際専門家会議(日・米・露・べラルーシ・仏・印・チェコ・トルコ及びIAEAより24名参加)でこの構想は全面的賛同をえている。OECDのIEA、NEAおよびIAEAの3者共同調査(2002年秋)では国際共同開発に推薦された。その他ブラジル・中国・インドネシア・韓国・オーストラリアなどが関心を示している。なお、2001年8月に「『原発』革命」(文春新書)を出版し、理解は社会に拡がり始めた。また、最近の国際核政策の混迷や核テロ恐怖・石油価格高騰などから、諸国の「トリウム」への関心はようやく高まりつつあり、今こそ、日本が率先して行動すべき好機である。9.おわりに核拡散・核テロ防止を大きく前進させるためには、速効的ではないが新しい核平和利用技術体系が必要であり、実現性の高い具体構想:“トリウム熔融塩核エネルギー協働システム”が有効である事を提示した。これは現原発体制から円滑に移行でき、日・米・露中心の国際協力開発も計画されている。既に基礎技術開発を終えているので、全構想に対する必要資金と期間は数兆円程度と2 - 30年で済むのは確かで、国際的には微々たるものである。最盛期には総計で0.1ないし1京円規模の世界に誇り益する産業が創生されよう。このようなものの実現によってこそ「核拡散防止」は本格化できると確信する。資源・国土の乏しい日本の未来「物作り」産業育成のためにも、国際開発を開始しようではないか。国家の支援も必要であるが、強い技術確信と高い道義心と善意の下での民間協力こそが、この成功と世界展開を約束するであろう。積極的な国民的検討討議の開始を望みたい。そして心ある企業家の奮起を期待する。これが異常というべき「核拡散問題論議」の現状に実効性ある提言を加えられると確信429