ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

融塩実験炉MSREは終えているのである。B miniFUJIで技術基盤が整えば、小型原発FUJIも10~13年後には建設運転開始できよう。時間と経費は極めて重要である。C初期燃料には、低濃縮U235でもよいが、既存プルトニウム(Pu)を使いその消滅をも兼ねて核拡散防止を強化させる。既存の使用済み固体核燃料からのPu含有燃料塩の製造は単純な「弗素化乾式再処理法」で容易であり、基礎開発は終えている。このような運用で現在の原発体系から円滑経済的に新トリウム技術体系へ移行できる(図6参照)。軍用の余剰Puも含めて最も経済的なPu利用焼却手段であり、核拡散防止策の最たるものとなる。D将来のU233補給用の増殖施設AMSBは開発を急ぐ必要なく、Puが使われてしまう25~30年後までに実用化すれば良い。これは世界に2,30箇所整備された「地域センター」に集中整備される。そして、使用済み燃料塩を受け入れて化学処理・核廃棄物処理された後、増殖施設AMSBで再生再利用される(図6参照)。E核廃棄物は、超ウラン元素がなく運転保守作業の絶対量も少ないので、発生量も少ない。さらに原発最盛期[2070年頃]以降の後退期に余剰核燃料(すなわち中性子)を利用して、熔融塩燃料サイクル内部で経済実用的に核廃棄物消滅処理ができる。核廃棄物問題を飛躍的に改善できるが、熔融塩および施設はそれに最適な作業媒体である。FUJIは高温工業熱供給にも有望である。出口温度の700℃は、ニッケル系構造材なので高温化は比較的容易であり、水素製造炉としても有望である。今世紀中頃には、0.1~1京円規模の世界に有益な基幹産業を構成できる。7.核拡散防止に優れたトリウム(補足)より専門的になるが、核拡散防止での利点をもう少し補足したい。旧ソ連からの核弾頭流出は事実であろうが、U235またはPu爆弾の弱いガンマ線が監視・検知を致命的に困難にしている。トリウム炉からえられる核分裂性U233は必ずU232を426