ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第22回最優秀賞命の間、炉開閉・黒鉛取替え・連続化学処理・燃料取替の全てが不要である。事故時に放出され易い放射性クリプトン・キセノン・トリチウムは、常時取り除いて安全性を高め、1日当り400g相当のトリウム塩を年に2、3度添加するのが主要作業である。発電効率は44%と高く、廃熱量が減る。小型化でき、電力負荷に応じた柔軟な運転操業ができる。安全だから需要地近くに置かれ、送電網整備が節約できる。4核燃料増殖施設AMSB:1980年に創案した10億eV加速陽子でスポレーション中性子発生反応させる加速器熔融塩増殖施設(AMSB)で、U233を生産しFUJIと協働利用する。Th濃度を高めた上記の熔融塩をターゲット/ブランケット兼用の構造とし、技術的困難が克服できた。6.トリウム熔融塩協働システム開発幸いトリウム熔融塩炉の技術基盤は、1950-80年頃に米オークリッジ研の優れた努力で整っているが、彼らが目指した熔融塩増殖発電炉MSBRには次の欠点がある:1増殖性能不足、2炉直結の連続化学処理装置の実用化が困難なばかりか核拡散防止に不適(第8章参照)、3炉心黒鉛が数年毎の取替えを要し液体核燃料炉の利点を損なう、4複雑高価で大型炉となる、などである。トリウム熔融塩核エネルギー協働システムは、これらの困難を解消し実効的な増殖サイクルの早期実用化と「核拡散防止」に優れた体系を完成させるものである。その実用化戦略は十分に負担軽く実現性は高い。概要を示すと、Aまず、図4(図2も参照)のような超小型原発miniFUJI(7000kWe発電)を建設運転する計画で、日米露三国共同で推進する構想をもつ。既にオークリッジ研が4年間の無事故運転に成功している熔融塩実験炉MSRE(7500kW空冷、図5参照)の成果を全面的に生かすので、研究開発費・期間は僅か300億円、7年でよい[機器開発では、同じ高温融体の液体Na炉技術が活用できる]。種々の革新原発炉型のなかで既に実験炉段階を終えているのは、この炉型のみと云えよう。FUJIの10年分相当の核燃料燃焼試験を、熔425