ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第22回最優秀賞装置・施設・システム全体が単純化できて発生する核廃棄物が大きく減少でき、さらにその放射能消滅処理作業をサイクル内部で経済的に実行可能となる。これで、上記の難問A核拡散、B安全性、C核廃棄物、D経済性の全てが解決可能なことが推察願えるであろう。以下の各章で少し専門的になるが具体的に解説したい。その基礎技術は確立しているのである。5.トリウムによる核拡散防止強化策〔トリウム技術の主要な特色〕トリウム利用における重要な特徴長所は次の3点である。【その1】トリウム資源は普遍豊富で独占不能:Uに次ぐ重い天然元素で、地殻中にUより3,4倍多く存在し、Uと違い海水に移行せずに海砂(山砂)として世界中、特に印・トルコ・ブラジル・豪などで多量に産出し、採取容易である。【その2】プルトニウムを作らない:天然トリウムはTh232のみだが、中性子を1個吸収するとTh233となった後、2度ベータ放射能壊変(電子放出)を繰り返しプロトアクチニウム(Pa)を経て、核分裂性のU233となる。[n :中性子, e - :電子]232Th+n233 The -233 Pae - 233 U。(半減期22分)(半減期27日)この新しいU233は、U235やプルトニウム以上に熱中性子炉で性能のよい燃料なのである。天然ウランの場合は99.27%がU238であるが、中性子を1個吸収しU239となり、ネプツニウム(Np)を経て核分裂性Pu239となる。これは、さらに原子炉内で中性子を吸収して重いアメリシウム・キュリウムなどの超ウラン元素となる。これらは核弾頭物質ないし厄介な長寿命高放射性廃棄物となるが、トリウムは核の質量数が232とそれらより6423