ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

3.核技術とエネルギー・環境への貢献策前世紀以来、エネルギー環境問題は日本存続に係るのみでなく地球最大の課題であり、積極的な世界戦略が求められる。しかもそれには巨大規模の核エネルギー産業を用意しないと打開できないのである。まずその根拠を明確にし、必要とする核エネルギー産業の体質および規模を把握した上で、それにふさわしくしかも「核拡散防止」に有利な新技術を開発すべきである。それで初めて「核拡散防止」は本格的長期的に成就するであろう。【環境およびエネルギー事情の将来予測】:未来予測などいうものは一般に不可能なのだが、骨太な原理構成により骨格が良く見通せる「仮説的未来予測」を立て、大局を見誤らない事は重要である。それにはマルケッティ(RR-79-13,IIASA,1987)が創め我々が補足して利用している図1が有効と考える。ここでは、細菌増殖とか商品流通といった生物・社会現象解析に有効な物流関数(logistic function)が使われ、縦軸はF/(1-F)[Fは1次エネルギー分率]の対数である。最も重要な点のみを指摘すると:1巨大基幹エネルギー技術というものは、200年位の寿命で主役は置き替わる。2化石燃料依存が現実だが、その環境破壊と供給不安定の打開には、太陽依存型のエネルギーを補助的寄生的なものから本格化すべきだが、量的には今世紀末まで間にあわない。3今世紀中頃は、核エネルギー依存を本格化するほかはないが、全エネルギーの7%程度の現状維持が精々では話にならない。図1(D)のように、約10年の倍増時間で高度成長させねば無意味である。CO 2抑制にはそれでも不足な位であるが、他に有効な方策は見当たらず、核エネルギー技術の真の「革命」は必須である。もう少し付言しよう。【環境およびエネルギー問題の困難性】:環境・エネルギー対策にコンセンサスが見えない。プーチン大統領が期限切れ寸前に豹変し京都議定書は成立したが、温暖化ガスの25%を放出する米国大統領は地球温暖化対策を拒否している。また昨年から石油価格が暴騰し「石油資源は有限、いや無限」などと姦しいが、情報を支配しているのは市場原理である。我々は「地球」そのものを科学的にはまだ幾らも知らない。地球は大きい。それを否定する意420