ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
397/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている397ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

第21回優秀賞「国連の意思決定メカニズムにおける中立性の限界」志田玲子要約国連の中立性は、集団安全保障体制を支える中核的要素である。本稿においては、国連の意思決定メカニズムにおける中立性について、2つの観点からその限界を詳らかにし、これを踏まえ、日本の常任理事国入りがもたらす意義を考察する。1.意思決定メカニズムにおける中立性1主権国家の合議体の観点から国連は、一般的に中立的なイメージが強いが、その意思決定メカニズムにおいては安保理に権限が集中し、非選で構成メンバーが固定化された常任理事国が実権を握る。大国中心、欧米中心であるため、意思決定主体の質・数の両側面において、非中立的要素を含む。2意思決定現場の人的環境の観点から国連組織の意思決定に関わる人員のうち、代表部員は加盟国の国家公務員として国家に忠誠を誓う。一方、事務局職員は、国際公務員として国連組織に忠誠を誓う。後者に求められる中立性は、明石のいうハマショルド的「中立」である、自らの良心において中立という領域を目指すことである。395