ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第20回佳作イラクではフセインの圧政は終わったが、イラク人の目に映るものは異教徒の軍隊の銃による支配である。米英側には、イラク人の大量破壊兵器の放棄という大義名分は有ったが、イラクの人々には関係のないことで、今まで以上の自由が得られるという期待が大きかっただけに、裏切られたという思いが強い。湾岸戦争以後、戦争はメディアによってテレビショー化され、双方の映像がリアルタイムで世界の人々の目にさらされるようになって、戦争の経過と是非が判断できるようになってきた。特にアルジャジーラのようにオサマ・ビンラディンのような敵と見なされる人の声も聞けるようになったことは、世界の世論づくりの上で大変有益であり進歩である。今後は更に、メディアが双方の声をより多く伝えることにより多くの人に判断の材料を与えて世界の世論の流れを作ってゆくことが、戦争やテロ絶滅の最良で有効な方策となる。ネガティブな部分では、レイプや掠奪がメディアによって世間の目にさらされるようになって出来なくなったことも、地上戦の遂行をやりづらくしている。これまでの戦争は、銃弾による人殺しと、情報戦の二面作戦で戦場と銃後を操作してきた。報道の自粛を求める声もあるが、これは戦争を見えないものにして、より凄惨で長期化する恐れがある。常により多くの情報を発信して平和的解決への使命を果たさなければならない。文明の発達は、怨念と憎悪によるテロ戦争という新しい形態を生み出した。生きるための物の奪い合いから、心の内部の戦争に変わり、人類が退廃へと向かうかのようである。メディアは情報戦の道具ではなくて、今後は兵器を越える戦として、戦争は世論が主体ろなって銃弾による殺し合いの無い戦争に変えてゆかなければならない。「人類が戦争に終止符を打たなければ、戦争が人類に終止符を打つ。」ケネディの言葉である。八、世界国家を目指して人類に対する最終兵器も可能な世界の中で、これを防ぐ方法はあるのか、テロは根絶できるのか、これ等の根源を絶つ方法を見出して実現していかなければならない。337