ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

世界国家をめざして「民族の興亡と国連」岩﨑保一、世界は一つ「妹よ、今までは、いつもいじめてばかりでごめんね。今度はいよいよ行くことになりました。もし帰ることがあったら、これからは仲良くするからね。そして、お父さんやお母さんにも孝行するからね。今までは良いお兄さんでなくて、ごめんね・・・。」これは昭和20年の初夏、敗色濃厚な沖縄方面に陸軍攻撃隊として出撃して行って、帰らぬ人となった第二次大戦末期の若い飛行兵の妹への手紙です。自分と我が身の死を思い重ねられないままに、死地へ赴く時の迫りくるのを予感しながら、過ぎし日のことに思いをめぐらしながら満感の思いを妹に語ったものです。死期の迫る今もなお、万分のいちの生への望みを持っているのです。知覧町の飛行場では全国から集めた若い特攻隊員を気が変わらないうちにと、基地に着いてから三日とおかず出撃させたということです。今、世界中で戦争やテロで多くの人命が失われています。人はどんな時でも自分から望んで死ぬ人はいない。崇高な使命など死の前に何の値打ちもない。命と引き代えにする何物もない。いかなる戦争にも正義も聖戦もなく、若者を死地に追いやるものの詭弁にすぎない。可愛い孫のいる東京をテロの狂気から守るために、二才になる男の子の孫を将来戦場に送らないために、戦争のない、国境なき世界国家を目指して、強い意志を持って声を上げたい。「人に愛を、世界は一つ」です。328