ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

(4)UNRWAの活動についての若干の考察教育における活動は2つの意味で重要なものとなるだろう。1つ目は、UNRWAが、非暴力、争議解決、人権を推進することを狙った教育プログラムを組んでいることである。イスラエルとの共存を目指す上で、将来、パレスチナを担っていく子どもたちに非暴力などの教育をうけさせることは重要である。2つ目は、パレスチナ国家の建設を目指す上で、UNRWAの基本教育の無料提供は極めて重要である。また、難民の若い世代が質の高い教育を受ける機会を高めるため、UNRWAは大学への奨学金を毎年197人程に提供し続けてきたxix。日本も中東和平ロード・マップ公表の動きを受け、川口外務大臣は4月、「人道支援およびパレスチナの国造りに向けた新支援パッケージ」を発表した。そのなかで、パレスチナ自治政府再建・改革支援の一つとしたJICAによる「人材育成」をあげているxx。これらの教育、人材育成は来るべきパレスチナ独立に備えるものであるといえ、独立を側面からバックアップするものとなるだろう。さて、(3)でも述べたが、インティファーダに対するイスラエルの対応により、パレスチナ経済は崩壊しかかっている。「栄養不良、貧血が見られる子どもが25%に増え、これはサハラ以南のアフリカ諸国と同レベル」とは驚くべきことだ。UNRWAはこれに対し人道支援を行っている。UNRWAは緊急支援活動を終わらせるためにも、さらには、UNRWAそのものの活動を終わらせるためにも、イスラエル・パレスチナ紛争の政治的解決は必要条件となってくる。しかし、後述するが国連のパレスチナに対しての政治的なアプローチは弱いように感じる。国連は、政治的要因からくる経済的社会的結果に対し受身に対応するだけでなく、その政治的要因をも解決するような能動的対処を行うべきである。4.国連の政治的なプレゼンスの低さパレスチナ問題に対し、国連は政治的にプレゼンスが少ないように思える。丸山直起教授はこう指摘する。「スポーツの試合のようにイスラエル・パレスチナ戦争にレフェリーが必要なら、創設以来中東問題と歴史的なつながりが深い国連が適任なのであろうが、国320xix同脚注xviixx JICA FRONTIER(2003.9)