ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第20回最優秀賞は深刻な問題といえる。b民族紛争世界にはどのような民族紛争があるのか。地域ごとに外観する。アジアとアフリカアジアとアフリカは、第二次世界大戦後、旧植民地主義や帝国主義政策の負の遺産の上に、「国家建設」と「国民統合」の課題に取り組まなければならなかった。アジアでは、パンジャーブ問題、トラヴィダ民族主義、ヒンドゥとイスラムの対立などを抱えるインド、多数民族のシンハリ人と少数民族のタルミ人の対立の続くスリランカ等、アフリカでは、「アフリカの角」の民族紛争、南アフリカ共和国のアパルトヘイト、ナイジェリアにおけるビアフラ内戦、中央アフリカのルワンダとブルンジで繰り返されている少数支配部族ツチ族と多数で被支配部族のフツ族の相互大量殺害の繰り返しなどが代表的な事例である5。中東第一次世界大戦中の、イギリス政府の二枚舌に端を発する、アラブとイスラエルの対立、パレスチナ問題がある。1947年に国連は土地分割案を決議したが、紛争は中東全体を巻き込み、第4次中東戦争まで数え、アメリカを中心として度重なる和平工作にもかかわらず、いまだに解決していない。ヨーロッパソ連・東欧社会主義の崩壊をきっかけとして噴出したのが、旧ユーゴスラヴィアの民族問題と、旧ソビエト諸国の相互間およびそれぞれ内部の民族問題である。その歴史的源泉は、オーストリア帝国とオスマントルコ帝国によって分割支配されていたバルカン半島の民族問題、そして旧ロシア帝国の周辺諸民族の支配にまでさかのぼりうる。c紛争の起源民族紛争は、しばしば国際政治システムあるいは国際政治環境の影響のもとに、発生する。民族紛争を助長する国際要因として、武器移転、地球規模の民族ネットワーク、民族自決への国際社会の支持、そして「弱い国」で生じた民族紛争への周辺国による軍事介入5平山健太郎:パレスチナ暫定自治を巡る諸問題:学士会会報、1995-Ⅲ、808、21.277