ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

か平和的手段によるテロも想定しうる。他者に危害を加えない座り込みや断食・焼身自殺とか、(犯罪ではあるが)要人に生卵やパイを投げ付けるといった程度の行為はこれまで幾度となく行われてきた。無論、生卵と手榴弾の聞に決定的な差があることは言うまでもないが、相手の存在を否定するという意味において両者に本質的な違いはない。国際社会は今もなお「国際テロリズム」を政治的に公式定義することが出来ないでいる。つまり、彼等は単にその過激さ故に、またその被害の大きさ・深刻さ故に「国際テロリスト集団」と非難されているにすぎず、裏を返せば、国際社会は「超過激なアルカイダ」を非難しえても「穏健なアルカイダ」・「平和的なアルカイダ」を非難しえないということになる。それも当然である。「穏健なアルカイダ」は世界中にいるからである。それは概に国際社会・国際政治の重要なメンバーであり、次の時代の主役であるとまで言われているからである。もっともその中には、生卵やパイであきたらず、警官隊に石や爆竹を投げ付ける程度の過激さを持ち合わせる連中も少なくはない。国家・政府に従属することも、国家・政府に取って代わろうとすることもなく、自分達の信ずる正義や理想をただひたすら追求する集団。地球上のいたるところで積極的に活動しながら決して自分達の利益や権力を求めようとしない集団。……マスコミや政治家・学者の先生達は絶対に口に出そうとはしないが、アルカイダに代表される国際テロリスト集団が、言わゆるNGO(非政府組織)・NPO(非営利組織)と殆ど共通の体質を持つ組織であり集団であることは明白なのである。断っておくが、私にはテロを擁護したり美化したり正当化したりする気持ちは全くないし、世界の平和や入権・福祉・環境・教育等の諸問題に取組み貢献している一般のNGO・NPOを誹諦したり中傷したりする意図もない。繰り返し述べてきた通り、21世紀が『地球市民社会の時代』であり、その主役がNGO・NPOであることは自分なりにしっかりと理解しているつもりである。258