ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第19回優秀賞国際紛争の解決に果たす国際連合及び国際連合大学の役割り末吉洋文はじめに国際社会は21世紀を迎えた。その国際社会において国際紛争の解決に大きな役割りを演じる能力を持つ主体のうちのひとつが国際連合である。国際連合は、「国際の平和及び安全の維持」を第一の目的とする普遍的国際組織である。その加盟国は191ヶ国にのぼり(2003年1月現在)、国際社会の様々な問題に関する討議ならびに意思決定を行い、時には憲章違反を行った加盟国に対して制裁措置を科すことによって国際公益の実現を図っている。国家間に紛争が生じることは、何ら奇異なことではない。国際社会において主権国家どうしが経済的交易を行うことは当たり前のこととなっており、紛争が生じることは必然的であるともいえる。何故なら、各々の主権国家が同じ政治的・経済的・文化的背景を同じくしてはいないからである。つまり、国家が対外的活動を行う際には大なり小なりの紛争を生じるものと考えてよい。こうした傾向は、近年の市場経済のグローバリゼーションにより、紛争発生率はむしろ高くなっているといえるであろう。このような現状の国際社会において重要であるのは、それが発生するものだとしても国際紛争があくまでも武力を伴わない解決に向かうことが重要なのである。武力による国際紛争の解決は、国連がその目的とする戦争の防止を意味し、国連憲章第2条3項において規定された「武力による威嚇又は武力の行使」の禁止に反するからである。伝統的国際法においては、こうした武力の行使が必ずしも禁止されていたわけではなかった。それが人類は第二次世界大戦という代償を払うことによって国連憲章2条3項を生み出したのである。もっとも、現代国際法においても武力の行使が全く禁止されたわけではない。国連憲233