ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第19回優秀賞得ての国際的攻撃も加わるであろう。2000年9月のいわゆる同時多発テロへの報復として為されたアフガニスタン攻撃はこの形であった。上記の2つはいずれも5ヶ国のうち米国が実例となっているが、これは少なくとも英、仏に関しては同様であろう。これでは国際紛争はなくならない。ここに、「少なくとも英、仏」と記したのは、中国、ロシアが各々別個の政治経済体制を過去に掲げ、中国ではそれが現在も基本的に生きていることを考慮したためである。ロシアは体制としては米、英、仏型に転換し、サミットに出席する国となったうえNATOに与せんとの動きを見せる場面もあるが、先年までの米国との冷戦や、共産、旧WP圏との米、英、仏にない独自国交を考えると同じ土俵では語れない。つまり、国連の中枢に5ヶ国が座り、尚且つそれらが2、ないし3分裂している状況では、5ヶ国を守るだけでも紛争の種類、国連許諾による国際的攻撃の形が量産化、多様化し、国際紛争への対応に追われること必至である。これでは、国際紛争を仲介し終結へと導くという国連の役割は砂上の楼閣である。2-2-4、兵器保有と、国連の体制の問題3:5ヶ国を中枢に据えた国連の形態が国際紛争解決に際し問題になるもうひとつの例を挙げる。武器、兵器の中でもっとも破壊力が大きく破滅的なのは現在「核兵器」とされている。だから、核不拡散条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CPBT)などは、無いよりはいい。しかし、常任理事国には核保有が認められているというのは、国家間の平等性を欠く。5ヶ国ならば「核の健全な保有」が出来るということなのだろうが、それはあくまで5ヶ国を中心に世界が回ることを各国が黙認している揚合の話である。敵対する国においては、この核保有形態は5ヶ国の横暴だ、という自国の核査察拒否の反駁材料となっている。また、NPT未締結のまま核保有を表明しているインド、パキスタン、イスラエルなどもある。5ヶ国を筆頭にこれら核保有国が核兵器を紛争抑止に有効だと言い放てるのは、1945227