ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

る始末である。資金なくして国連運営が不可能な以上、その資金に見合うだけの発言権は頂いてしかるべきであろう。拠出金は国連活動への意気込みの指標でもあるのだ。現に、米国の最大拠出は米国主導の国連への批判をかわす材料のひとつになってきた。それにしても、拠出割合のみをとっても、即ち、日本の突出した拠出額、独、伊の負担をとってみても、60年近く前の敗戦の影響がしのばれる。ここにも国連の目指す国際平和スタイルの限界が如実に表れている。2、国連のあり方と国連大学に求められる研究課題:以下、国連大学の役割をからめて国連のあるべき姿について問題提起したい。2-1、国連大学の研究課題1:現在、国際紛争の火種として争点となるのは常に「大掛かりな武器」の所有である。紛争を起こすと思しき国に対して、核、ミサイルの査察受け入れなどを国連主導で要求するのはそのためだ。このとき、例えば武器が核ならば、IAEAが査察の主団体となる。武器の仕掛けである原子核物理、原子核反応機構および核爆弾構造を知り尽くしていないと査察の仕様がないからだ。こうした武器内容に関する「プロ」を養成することは、今後も新たに開発され続けるであろうさまざまな殺傷兵器に対抗するために、まず必ず必要である。そうした兵器関連の研究は、必然的にそれらの武器の無力化、例えば核兵器では原子炉(高速増殖炉)を用いて燃料を燃やす、等の有効な方法を編み出すことに繋がるのだから、大手を振ってなされるべきである。人間が自己の生(せい)を生きるために生まれてくる、という原点を思い起こせば、武器を編み出さない、必要としないことは本来常識である。しかし、兵器が資金源になるほど威力を持ち、実際に国際紛争の揚で多量に生産、使用されているのだから、上記の兵器プロ養成機構の存在は残念ながら非常に重要である。国連大学にこの養成機関を置くことが大いに望まれる。222