ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

4.国連大学に期待すること近年の日本は、黒船来訪の衝撃に始まる明治維新、戦後の廃墟からの復興、さらには外圧による規制緩和と、海外からの困難な要求や期待をばねに国家を発展させてきた。内部から変えにくい日本の官僚化し硬直した大学や公的組織の変革のため、誰かがこうした黒船や外圧の役割を果たす必要があるのではないだろうか?また、日本はこうした試練を乗り越えることで、新たな知的支援国としての能力を身につけることができるかもしれない。そうした、現在の日本の大学や援助機関にとっての変革の旗印としての「黒船」あるいは「外圧」としての役割を国連大学に期待することを前提に、以下の5つを提案したい。1人材育成に多彩なメニューを提供し競争を促進すること国連大学がリーダーシップをとることで、国連諸機関や国内外の大学、日本の国際援助機関相互の連携、協業を進め、日本の国際協力人材の育成に競争の原理を導入する。例えば、現在、JICAの研修所が担当している2国間援助による海外からの研修生の教育を、国連大学が国連専門機関や日本の大学と共同で独自のプログラム作ることで、JICAとそのプログラムの質の面やコストの面で競争できるようにする。あるいは、海外の大学と日本の大学とで共同のプログラムを開発、ロジスティックはJICAに任せる等、新しい協業の形をプロデュースする。これにより、日本における国際協力に携わる人材育成は量、質共に向上、活気のあるものになる。さらには、民間企業、NGO・NPO等も人材育成プログラムの開発に参加できるようにし、それらが互いに競争できるようにする。具体的には、日本の人材育成プログラムを案件毎に上記の単独、あるいは共同プロジェクトによる入札を行う等、質の高い教育を実施する機関が日本の援助教育に参入する機会を与える。また、日本の大学にこうした人材育成プログラムに参加させることで、大学教育を活性化することもできる。2日本の各種機関による途上国援助の評価、認定を行うこと現在、様々な機関が模索中の途上国援助の評価手法を採り入れて、国連大学が、日本が行っている2国間援助、わけても途上国への人材育成や知的貢献を客観的に評価できるよ124