ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

PKOの派遣に適した案件かどうかの見極め、各勢力の性格の把握、作戦に必要な規模・装備の見積もりなどを行える専門的な調査機関を設立する必要がある。独自の機関を設立出来なければ、既存のシンクタンクやNGOにアウトソーシングすることもできよう。3即時配備可能な部隊の確保配備の所要時間、人員不足、派遣国の偏り/装備等での先進国と途上国の部隊の格差、指揮系統・コミュニケーションの問題は全て、即時配備可能な部隊の確保によってかなりの程度解決される。ブラヒミ報告で既に「国連待機部隊制度」が提言されているが、必要に応じて必ず招集できる部隊が存在すれば、たとえそれが国連の常備軍ではなくとも、明確な指揮系統・コミュニケーションの下、決まった装備を持った、PKO業務を行うための特別な訓練を積んだ部隊を即座に配備することが出来るようになる。ブラヒミ報告では各国に待機者のリストを作らせることが想定されているが、二重の忠誠を防ぐためにも国際公務員として雇用すればよいのではないだろうか。全ての部隊をそこから賄う必要は短期的にはないだろうが、少なくとも指揮系統の中枢を担う人材をも毎回外部から調達するというのは、非効率的であるように思われる。部隊全体のコアとなる部分を自前で提供できるようにすることが、第一歩である。これは警察・あるいは文民の専門家等にも言える。PKOの特殊な業務に十分対応した人材を常にある程度揃えておくことが重要だ。勿論コストの面では困難が予想されるが。あるいは国際公務員として雇用しなくとも、即時配備可能な人員の提供を各国の持ち回りにすることが考えられる。数年の任期を設定し、その期間は当該国が人員を決められた人数必要に応じて提供しなければならないという責任を課すのだ。その際最も合理的で皮肉の効いた方法は、安保理の理事国をその任に当たらせることである。安保理が現在の仕組みを維持する限り、最も有利な立場にあることになる五大国は、もしその立場をあくまで手放さないというならそれに見合う責任を国際社会に対し果たすべきだ。非常任理事国に関しては、任期の間その任に当たればよい。1050