ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

事例が本当にPKOの派遣に適した案件なのか、どの勢力が協力的で、どの勢力が不安要因なのか、どれほどの規模が必要なのか、どれほどの装備が必要なのかなど、事前に共有しておかなければならない情報は多く存在するが、その情報収集を専門的に行う機関が存在しない。*配備の所要時間…紛争、特に深刻な人権侵害が行われている場合には、介入が1日遅れるだけで犠牲者が激増する恐れもあるだけに、PKOの派遣の迅速性は最も重要な目標の一つである。しかし現況では、安保理決議を受けてから加盟各国との人員派遣の折衝に入らなければならず、しかもその結果各国が応じるという保証もないため、配備が遅れてしまうことが多々ある。*人員不足…”A New Partnership Agenda: Charting the New Horizon for UN Peacekeeping”の中にCritical Shortages in 2009という項目があり、その中で指摘されている9点のうち7点は人員に関するものである。人員を各国の拠出に頼らなければならない現状や、専門性を必要とする特殊性を帯びた任務の内容、また雇用体系の不安定さなどから、確保に苦労しているものと思われる。*派遣国の偏り/装備等での先進国と途上国の部隊の格差…PKO局が毎月発行しているPKOへの要員派遣の国別統計の推移を見ると、大まかに言って1990年時点ではカナダや北欧諸国、イギリスなどの先進国が中心であったのに対し1990年台半ばにはインド・バングラデシュ・パキスタンやアフリカ諸国などの途上国が数を伸ばし始め、2012年12月時点では上位からパキスタン・バングラデシュ・インド・エチオピア・ナイジェリア・ルワンダ・ネパール・エジプト・ヨルダン・ガーナ・ブラジル・ウルグアイ・南アフリカと続き、いわゆるG8に含まれる主要国としてはイタリアの1046