ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
1047/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている1047ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

第29回優秀賞いて、その存在自体が曖昧であったPKOがどこまで必要であるのかが今後問われていく可能性も考えられるのではないだろうか。242.4PKOの実務的諸課題PKOが平和実現への主要手段であると認めるとしても、その実行手段においては多くの課題が指摘されてきた。ここでは、その中でも本稿がカバーすべきと考える内容のうちで特に注目すべきと考えるものを抜粋したい。国連事務局は冷戦後のPKOの度重なる失敗の中で、改革の方向性を模索し、何度か専門家を交えて報告を行わせている。代表的なものに2000年にアナン事務総長(当時)によって設置された専門家パネルによるブラヒミ報告、そして2009年にPKO局とフィールド支援局によって発表された「A NewPartnership Agenda: Charting the New Horizon for UN Peacekeeping」がある25。後者は前者を参考にして書かれている点が多いため、前者を中心に抜粋していく。10年弱の年月を経ても尚記述に重複があること自体、改革が一筋縄ではいかないものであることを物語っているとも言えよう。*安保理と国連事務局との関係…PKOは安保理によるマンデートを受けて国連事務局が具体的な準備・執行を行う形をとっているが、安保理がコンセンサス方式で決定を行うため必然的に内容が曖昧になり、それが事務総長・事務総長特別代表・現地の司令官などそれぞれに都合よく解釈することを許してしまう恐れがある。兵力規模や権限も安保理が決定するが、国連は自前の軍を持たないためその兵力を確保できるかは加盟国との交渉次第になり、実現が可能かすら毎回不透明である。*情報収集・分析能力の不足…PKOを派遣する前段階において情報収集と分析は決定的に重要である。そもそも当該24「国際連合平和活動に関するパネル報告書」(A/55/305 - S/2000/809)(ブラヒミ報告和訳)(http://unic.or.jp/security_co/pdf/a_55_305_j.pdf)“A New Partnership Agenda: Charting the New Horizon for UN Peacekeeping”(http://www.un.org/en/peacekeeping/documents/newhorizon.pdf)25外務省ウェブページ「国連PKOの現状」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pko/katudo.html)1045