ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

国連と安全保障―「現実」を越えるための試験的考察―第29回優秀賞向山直佑構成1.国連集団安全保障体制の概観2.国連集団安全保障体制の問題点の整理3.解決策の提案4.結語に代えて―「理想と現実」の歯がゆさ1.国連集団安全保障体制の概観ブリタニカ国際大百科事典によれば、集団安全保障とは「対立している国家をも含め、世界的あるいは地域的に、すべての関係諸国が互いに武力行使をしないことを約束し、約束に反して平和を破壊しようとしたり、破壊した国があった場合には、他のすべての国の協力によってその破壊を防止または抑圧しようとする安全保障の方式」と定義される。国際連合の下での安全保障の理念に関しては、国連憲章6章「紛争の平和的解決」と7章の「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」の規定が表しているが、このうち7章中の42条が国連の軍事的措置について記述しており、そこでは「安全保障理事会は(中略)国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。」とされており、また43条ではすべての国連加盟国が安全保障理事会の要請に基づき特別協定によって兵力・援助及び便益の提供を行うことが想定されている。これらの規定により描き出されるのがいわゆる「国連軍」である。しかし周知のように冷戦下の対立によって43条は死文化したため、戦後史の中で「国連軍」という名称が正式に使われたのは朝鮮戦争時のただ一度のみであり、しかもこの「国1039