ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

リア、ルワンダなどでのPKOを経て、現実はそれほど単純ではないことが世界に思い知らされ、それ以降国連は成功と失敗を繰り返して今日に至っている。「成功と失敗」―この表現が成立する限りそこには成功・失敗それぞれの原因が存在しなければならない。病名がわからぬ限り処方箋を書くことはできないのと同様、現在に至る国連の安全保障体制の問題が見つからぬ限り、それを改善することはできない。結論から先に言えば、筆者は国連の志向する安全保障体制、その体制それ自体が転換されるべき時期に来ているのではないかという問題意識を抱いている。個々のPKOの失敗を受け、対症療法的に繰り返されてきた「改革」も、それでは解決できない問題に目を向けざるを得ない段階に入っている。そこで本稿では、今回の論題に即して、PKOを中心としたこれまでの国連の下での集団安全保障体制のその沿革を概観し、その問題点を指摘した後、国連が果たしてきた役割を2つの側面から考察し、最後に問題点に対する解決策を一つのビジョンとして提示する。集団安全保障体制あるいはPKOについては膨大な数の先行研究があり、深い考察が既に多くなされていることから、本稿は詳細な事実の検討というよりは巨視的に見たビジョンの提示という部分に重点を置いていることを付言しておく。1038