ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

国連の理念や役割は冷戦時も冷戦後も変らないと思う。ただし此の崇高な理念を遂行するには、国連の機能の民主化と強化が必要であり、その前には一、常任理事国の数や権限を見直しし、拒否権を廃止する。冷戦時代が終結した今、突出した権限を持つ常任理事国の存在や、拒否権の発動は時代にマッチしない。飽く迄も加盟各国の話し合いによって物事を決めてゆく必要がある。日本は現時点において常任理事国を目指しているが、それは飽く迄も過渡期の措置であって、常任理事国は特に後進国になじまず、不協和音の原因になっている事を認知した上での行動でなければならない。二、一方総会における投票権は、加盟各国の人口や分担金等を配慮した権限に見直しし、現状の悪弊等を是正すべきである。しかし、超大国が無くなった今、百数十各国の意見を集約し、一つの方向に歩む事は難事である。この前には国連に、米、ソに代る強力な権限を付与すべきである。国連の権限強化の手段は、加盟各国の主権を遂次国連に委譲する外ない。主権委譲の可能性は、世界の平和と繁栄に対する加盟各国の熱意と自覚による。従来の権限の儘では、国連は又しても理念倒れになる外はない。国連事務総長(事務総長の名称も総長とか、会長等に変更すべきである)も世界的実力者で、その母国も世界の新秩序に十分貢献出来る国力を有する事が望ましい。総長とその母国が一心同体となって、国連の活動を推進する仕組みが効果的であると思う。その意味においては、日本やドイツ等、かつての敗戦国からも当然総長が出て然るべきである。国連が強大になる為には、国連に独自の軍隊や警察機構を設ける事も大切である。一方各国の軍隊は次第に縮小すべきである。世界の中の不合理の最たるものに武器輸出がある。この武器輸出が、例えば中東各国の自信過剰を招き、イラン、イラク戦争や、湾岸戦争の起爆剤になったと思われるし、現時点でもバルカンの内戦にミサイルが飛んだり、アフガニスタンやカンボジアの内戦終結後の後処理を難しくしている原因にもなっていると思われる。まさしく、武器輸出は諸悪の根源である。にも拘らず、米国、英国、フランス、ロシア、中国等、世界の大国、先進国が公然と武器輸出に励んでいる。恐らく自国の経済維持の為に、止むを得ない仕儀になっているので94