ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「冷戦後の新時代における国連の理念と役割」浜村欣次ソ連邦の崩壊により、世界は半世紀に亘る冷戦時代にピリオドを打った。それに前後して、東西ドイツの統合や、東方諸国の民族独立運動が起こり、世界はここで一挙に雪解けの春の様に、平和の息吹と希望に満ち溢れるものと期待した。しかしそうはならなかった。今や混乱は従前以上となり、新しい世界不安が起こりつつある。先の第二次世界大戦においても、秩序を乱したドイツと日本が壊滅したにも拘らず、世界はすぐ米、ソ両国を主軸とする東西両陣営に分れ、所詮冷戦時代に突入したのである。そしてこの間に朝鮮の南北戦争、ベトナム戦争における米国の介入、アフガニスタンへのソ連の侵攻等があり、何れも泥沼の戦乱を経て今だに深刻な後遺症を残している。人類はどうしてこうも平和と背中合わせの選択をしていくのであらうか。その上人類にはもっと基本的な問題、もっと深刻な問題が忍び寄りつつある。即ち人口問題、食料問題、環境問題等、この儘で推移すると、やがて人類全体が滅亡する危機を孕んでいる事は、今や周知の事実である。反面人々は、世界が共存共栄する事の大切さを熟知している。朝鮮における南北対話、中東諸国の和平への模索、EC統合の気運等、何れも一歩前進半歩後退しながらも、共存に向けての努力を重ねている。世界は今、統合と分割と相反する事態が、同時に進行しつつある。そしてむしろ後者のほうが勢があり、華々しくさえある。民族の独立運動は且つて第二次世界大戦後に植民地を消滅させた如く、何人も抑止する事の出来ない自然の奔流であるが、自民族の独立の為他民族をしている現状は、健全な常識を失った狂気の感さえする。しかし恐らく此等は冷戦終結後の一時的熱気であらう。既にスコットランドが執念の独立運動から一歩後退しつつあり、その理由はイングランドとの共存なしでは、経済的に自立し得ないことを知った92