ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

るはずである。86今後、地域紛争の処理プロセスは、各国独自の安全保障政策、同盟関係、様々な地域組織、その地域における多国間安全保障システム、そして国連安保理が効果的に連携して、国連と地域が相互補完する体制へ移行してゆく必要がある。しかしながら、現状では、ほとんどの地域的組織には平和関連活動を展開するだけの能力が不足している。87その多くが軍事的組織というよりも政治的組織であるため、国連憲章第七章下の強制軍事行動に適していない。地域組織としては、地域内の国内紛争で一方の側に加担しているように見られては困る事情もあろう。88さらに地域組織は、例えばアジアなど、最も必要とされている地域で未発達である。89そこで、まず当面の課題としては、信頼醸成など予防外交に対象を絞ってでも地域組織の機能を強化してゆくことが求められよう。例えば、アジア地域を例にとれば、APEC、ASEAN拡大外相会議、ASEAN地域フォーラム、CSCAP等の活用を通じて、広範な政治及び安全保障対話の場を拡充してゆく必要がある。また、アメリカ、日本、中国及びロシアによる四者協議提案も検討に値する。90各々の安全保障政策や世界観等について率直な対話を深め、各国の安全保障政策や、アジア情勢の推移等について意見交換を行い理解を深めるべきである。91長期的に見れば、こうした信頼醸成の枠組みには、将来危機が起こった際のアジアにおける四大国間での意思疎通を改善してゆく役割も期待される。92しかし、いかに地域組織の危機管理システムと国連安保理の機能を強化しようとも、いずれにも制度的脆弱性が残る点は否めない。この脆弱性ゆえに、地城・国連の両レベルにおいて紛争処理システムが同時に機能不全に陥ることも十分に想定できる。93実際、コソボ紛争でもまさにこの「二重の機能不全」が起こり、国連の機能不全に加えて、地域レベルでもEU、OSCE、コンタクト・グループ等の調停機能が麻痺し、そのためにNATOとG8が緊急避難的に使われることになった。94「紛争解決にあたっていた制度や機構が次々と麻痺」してゆき、結局最後に残ったのは同盟による軍事的圧力と伝統的な外交官の交渉術だった。このような段階を経て、最終局面でようやく国連安保理を復活できたのである。9584486エドワード・ラック、p.11687浅田正彦、P・7388エドワード・ラック、p.12089エドワード・ラック、p.12090エドワード・ラック、p.13091エドワード・ラック、p.13092エドワード・ラック、p.13093岩間陽子、p.1694岩間陽子、p.1695岩間陽子、p.17