ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第16回優秀賞継続することも地道ながら重要な作業である。多層的な紛争処理メカニズムの構築国連、地域組織、同盟関係これら国連安保理により正統性を付与された平和関連活動に加え、地域関係諸国が協調して危機管理策をとりまとめ、それを様々な地域組織が実行する。このような地城紛争処理モデルが、90年代を通じて徐々に形成されてきた。81今後、このモデルをさらに強化拡充して、国連は平和関連活動のために地域組織をより効果的に活用してゆくべきであろう。結局のところ、当該地域を最もよく知っているのは地域関係諸国であり、これら諸国こそが紛争による直接的影響を蒙るので紛争解決に最も強いインセンティブを持つ。82過去にも、紛争の初期段階においてOAU、CSCEなどのサブ・リージョナルな組織が紛争への対応で優れた実績を示している。83もとより国連憲章起草時点では、地域的な安全保障問題への対応には、まず地域組織があたり、このレベルで問題が解決できない場合のみ、安全保障理事会が直接関与することが想定されていた。84安全保障理事会はほとんどの場合に最終的な拠り所であり、決して入口ではなかったのである。85国連憲章第6章第32条は、「いかなる紛争でも…その当事者は、まず第一に…地域的機関又は地域的取決の利用…による解決を求めなければならない」とし、続いて第37条は、これらの努力が紛争の解決に失敗した場合、当事者は「これを安全保障理事会に付託しなくてはならない」と規定している。そして、策8章第2項では、「…国際連合加盟国は、地方的紛争を安全保障理事会に付託する前に、この地域的取決又は地域的機関によってこの紛争を平和的に解決するようにあらゆる努力をしなければならない」とされている。安全保障関連の地域組織は、国連憲章第8章下の組織であるか否かを問わず、国連の平和活動に参加できる。もしこのような地域組織が紛争処理機能を強化してゆけば、国連安全保障理事会は、多発する危機に右往左往することなく、監督的機能を果たすことができ81岩間陽子、p.1582浅田正彦、p.7383クマール・ルペシング「序章」p.2384エドワード・ラック、p.11685エドワード・ラック、p.116843