ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

主権に関する価値観が根本的に異なるため、紛争解決策を巡って本質的な意見の相違がある。このため、国連の紛争処理システムはしばしば機能不全に陥りがちである。特に中国の場合、台湾問題を中国の内政事項として捉え、その独立阻止を最重要課題の一つと位置付けているため、世界中のあらゆる国内紛争への対応が台湾問題との関連で捉えられている。国連の介入が一国に対する内政干渉にあたりかねない場合には、それが将来、国際社会が台湾問題に干渉する口実となりかねないことを危惧し、いかに他地域の紛争であろうとも支持しない。近い将来、中国が国家主権よりも人権を重要視するようになるとは、現時点ではとても想像し難い。数多くの紛争解決に向けて、ロシアや中国が西側諸国と解決策について合意できるようになるためには、両国を相互依存の国際システムに取り込む関与政策を辛抱強く継続してゆくしかない。56国連の早期警報機能の強化策上記の諸問題を考慮すれば、紛争は発生してから対応したのでは遅すぎることを強調したい。国連によるあらゆる平和関連活動の中で、何よりもまず予防外交の重要性が注目されるべきであろう。予防外交の強化こそが現在の緊急課題であり、このためには早期警報機能を早急に強化しなければならない。残念ながら現状では、国連は紛争予知にあたりまだメディア報道に多くを頼っているのが実情である。57これまでに、長期化した紛争への対応においては早期警報は成功している。58特にエリトリアやティグレでは、早期警報システムが民族解放運動の人道部隊によって運営され、国際的支援の下、有効に機能してきた。59国際的ネットワークが、難民流出の発生、国境警備の状況、隣国への影響などを正確に予測しこれに備えることを可能にしたのである。60タイムリーな早期警報さえ与えられれば、国連は紛争の平和解決に向けた調停者の役割を果たすことができよう。紛争に対する安全保障理事会の関心を惹きつけ、事実調査団・調停団・交渉団を派遣したり、紛争当事者を含む紛争解決のためのフォーラム設置など、様々な予防措置がとれるはずだ。61刻々と変わりゆく状況をあらかじめ組織的に監視でき84056岩間陽子、p.1857クマール・ルペシング「予防外交の推進のために」、P.31458クマール・ルペシング「予防外交の推進のために」、p.31359クマール・ルペシング「予防外交の推進のために」、p.31360クマール・ルペシング「予防外交の推進のために↓、p.31361クマール・ルペシング「序章」、p.23