ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

ろう。45第四に、戦闘再発防止のため平和維持活動から平和強制への移行が決断されれば、国連が紛争当事者に侮られることのないよう、圧倒的な戦力で徹底的な軍事的強制措置を実施すべきである。46例えば、ボスニア・ヘルツェゴビナでは、イギリスやフランスがセルビア側に挑発的な行動を回避していることが明らかになると、セルビア人勢力はかえって大胆な行動に打って出るようになり、UNPROFORに参加しているイギリスやフランスの部隊を事実上、セルビア側の人質としてみなすようになってしまった。紛争当事者に対して断固とした態度をとることは極めて重要である。47この点は、平和維持活動との関連においても指摘できる。48例えば国連は、PKOが攻撃を受ければ軍事的強制措置を発動するという警告を発して、紛争当事者に抑止力をかけることができる。もちろんこのためには、国連が軍事的強制措置発動に向けた確固とした決意と能力を有していなければならない。49残念ながら、このような資源は国連には不十分である。第五に、ある国内紛争で人権侵害が明らかになった場合でも、国家主権とのからみで国際社会がどこまでどのように介入できるかという点について合意がなく、従って普遍的な紛争介入基準が存在しない点が挙げられる。50人権の普遍性に関しては国際社会でも徐々に合意が形成されており、また国家主権概念に対する考え方もかなり変化してきたが、国家主権の限界や国際社会による適切な介入方法に関しては何ら合意は形成されていない。人権と国家主権をいかにバランスさせるべきか、試行錯誤が続けられており、このような基準は時間をかけて実例を積み上げながら発展させていくしかないであろう。51地域紛争と国益の関連性国際社会がある事態に対して軍事行動をとるかどうかは、その事態を取り巻く状況に基づいて決められる。事態の深刻さや、介入国の国益が紛争によってどう影響されるか等の戦略的計算が主要変数となる。52ある国が紛争に意欲的に介入し国連平和活動に兵力を提供するにあたり、その紛争で重要な国益が問われている場合が多い。83845浅田正彦、p.7446浅田正彦、p.7547浅田正彦、p.7548浅田正彦、p.7649浅田正彦、p.7650クマール・ルペシング「序章」、p.2151クマール・ルペシング「序章」、p.2252ウィリアム・ダーチ、p.184