ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

る平和再建等がある。予防外交には、信頼醸成、事実調査、早期警報発信、平和維持活動要員の予防展開などがある。17平和創造とは、基本的には国連憲章第6章に基づいており、紛争発生後にその激化防止を目的とする一連の和平措置であり、外交交渉、審査、仲介、調停、司法的解決、地域機構の利用などが挙げられる。18平和維持は、紛争激化の阻止のため現地に部隊を派遣する限定的軍事活動であり、経済制裁を課すことはありうるが、国連憲章第7章に基づく「軍事的強制措置」ではない。19紛争後の平和再建とは、停戦協定締結後、平和維持活動要員の派遣にも拘らず敵対行為が再発した場合の対応措置をさす。紛争当事者に限らず一般の人々を含む幅広い層を対象とした信頼醸成措置であり、政治・外交交渉のみならず、訓練、ワークショップ、教育、文化交流、技術協力、人権促進、経済開発などを通じた平和的環境の整備を目的とする。20この作業には、NGO、学者、専門家の参画が求められる。これらの措置にもかかわらず紛争が悪化・激化したり、一方的なルール違反や重大な人権侵害が発生すれば、平和執行部隊を派遣することになる。21平和強制は、紛争当事者の同意の有無を問わず、国際平和と安全回復のために武力行使を任務とする軍事部隊を国連が派遣展開することを指す。例として、1992年アメリカのソマリア内戦介入、1993年UNOSOMとUNPROFORへの強制力付与、1994年アメリカのハイチ介入等の例が挙げられる。22ただし、平和強制の圧力は初めから軍事的である必要はない。電気通信、資本流入ないしは航空機の乗り入れ停止、クーデター指導者や関係者の国外資産凍結といった狙いを絞った経済制裁も、平和強制の第一段階となりうる。そのような措置がとられると広く理解されていれば、潜在的な紛争当事者が紛争蜂起を思いとどまる可能性も期待される。23国連の紛争処理機能の評価1992年にブトロス・ガリ前事務総長が「平和への課題」を発表してから、平和維持機構としての国連に対して大きな期待が寄せられたが、その後国連は多発する地域紛争や内83417ブトロス・ブトロス・ガリ「平和への課題」1992年1月31日18黒田順子、p.30519黒田順子、p.30520黒田順子、p.30521黒田順子、p.30622スティーブン・ラトナー、p.2123ウィリアム・ダーチ、p.183