ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第16回最優秀賞例えば人道的支援活動や平和維持など何を目的としていて、期間をどれくらいにするのか、内戦の状況に即しているか、また、加盟国の協力が任務終了まで得られるかなどといった点を検討し明らかにする必要がある。その上で、それぞれの任務の期間は、必要な長さに過不足なく設定される必要があろう(51)。そして第3点として、内戦介入において国連は公正性を保持しなければならない。国連が公正性を疑われた場合、PKOなどの要員に危険が及ぶだけでなく、平和創成の仲介者として活動するのが困難になるからである。特にソマリアのように武力を伴った平和強制は、国連が「当事者化」する危険性から、国連の公正性を揺るがす危険性がある(52)。「人道的介入」ソマリアなどにおいて行われた「人道的介入」という概念に関しては、主に次の3点において議論となった。まず第1点は、安保理決議において、ソマリアの人道的危機を「国際の平和と安全に対する脅威」であると明記した点である。国連が国連憲章第7章に基づいて紛争に介入する揚合、その事案が安保理によって「国際の平和と安全に対する脅威Jであると認識される必要があるが(53)、一国内の人道的危機がその認定を受け、国連の介入根拠とされることは少なかった(54)。一方、ソマリアに関しては、まず安保理決議733の前文で、人道的危機が続くことが「国際の平和と安全に対する脅威」となる危険性があるとして武器禁輸措置がとられた(55)。そして、UNITAF派遣を決定する安保理決議794において、ソマリアの状況が「国際の平和と安全に対する脅威」であると前文で明記された(56)。このような安保理の判断は、内戦およびその下での人道的危機が、従来は主に武力を伴った国家間紛争に適用されてきた「国際の平和と安全に対する脅威」という概念に当てはまる、また、国連として内戦やそれに伴う人道的危機事態が生じた場合に、国連憲章第7章に基づく介入を行い得る、という解釈を示したといえる。内戦でも、その一国の紛争が近隣諸国に飛び火する、または人道的危機が難民の大量流出を引き起こすといった国際問題に発展する危険性があり、必ずしも一国に限定された問題としてのみ考えることはできない。また、内戦の長期化や、深刻な人道的危機が国際社会に放置されることは、「平775