ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第16回最優秀賞行われたりするケースが発生した(44)。これらはいずれもUNOSOMⅡだけでなく、その前の旧ユーゴに対する国連の介入などの影響もあると考えられるが、UNOSOMⅡの平和強制の失敗は、それまでの国連およびPKOの紛争解決能力への期待を減じさせたといえるであろう。結論本論における以上の考察をまとめると、まず国連のソマリア介入、及び介入方法の妥当性という着眼点について、国連の介入目的は、ソマリアの人道的危機の改善・人道的支援活動の保護と、ソマリア内戦の平和的解決の2つであった。また、介入方法に関しては、主にソマリアの人道的危機及び内戦が深刻になる以前の国連のプレゼンスと、実際の国連の介入におけるソマリア分析の重要性という点について指摘をした。ソマリアのケースは、人道的危機や内戦の把握と対応の方法、および内戦、特に無政府状態となった国家における紛争に、もともとは国際紛争を想定して設立された国連がどのように対応できるのかに関して議論の余地を残したといえる。しかも、今日発生している紛争の中では、内戦という形態が顕著であることを考えれば、介入方法において、どこまでが国連の役割で対応可能な範囲であるのかを認識する必要があるといえる。次に、UNOSOMⅡ以前の国連を中心とした活動に関しては、以下の問題点を指摘した。それは、国連の公正性、「伝統的PKO」であるUNOSOMⅠの人道的支援活動の保護という任務、UNITAF派遣にまつわる意見の対立、武装解除の4つである。これらの問題点が、後のUNOSOMⅡの失敗へと繋がったと考えられる。そして、国連のソマリア介入に関する議論でしばしば中心となるUNOSOMⅡについては、UNOSOMⅡの任務が広範囲だったことと、平和強制を行ってUNOSOMⅡが「当事者化」した結果、その後のソマリア内戦解決や国連の紛争解決全般に影響が及んだということを指摘した。これらの考察を基に、筆者が本稿の冒頭で挙げた以下4つの論点について考察してみたい。773