ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第16回最優秀賞たのかが中心となる(10)。いずれの視点によるアプローチも複数の視点からの考察を試みていることはいうまでもないが、中心となる視点によって、ソマリア内戦と国連、特にUNOSOMⅡに関する分析は分析方法・分祈結果双方において特徴を示している。今日までのこれらの研究成果を踏まえ、筆者は本稿において以下の3点を着眼点として挙げ、それを出発点にして考察をしたい。その着眼点とは、まず、国連がソマリアに介入する目的は何だったのか、及びその目的に即した方法での介入が行われたのかという点である。第2点として、UNOSOMⅡの失敗の原因に繋がるような問題点はあったのか、もしあったとすればそれはどのような点だったのかという点である。そして第3点として、UNOSOMⅡの失敗原因として挙げられることの多いUNOSOMⅡが、ソマリア内戦における一紛争当事者となり戦闘に及んだという「当事者化」(後述)についてである。これらの着眼点を通してソマリア内戦と国連の介入を再検討することによって、先に筆者が認識したと述べた4つの論点について何らかの教訓を得ることを試み、ソマリアをはじめとするような内戦で国連が果たしうる役割について考察したい。本論ソマリア内戦の経緯ソマリアは、20年以上独裁攻治を行っていたバレ政権の勢力衰退による政治的混乱と、干ばつによる飢餓状態が1980年代から進行していたが、1991年1月にバレ政権が崩壊した後無政府状態に陥り、いわゆる「failed state」(「崩壊国家」「自己統治能力を失った国家」)となった。バレ政権崩壊前後から、各地で勢力を伸ばし抗争を続けていたのは、クラン(clan)という血縁に基づく氏族制を基盤とした諸勢力だが、その中でも中心となり、新政府を樹立したソマリア統一会議(USC)が、アリ・マハディ氏とアイディード将軍との間で内部分裂した(11)。1991年9月には、アリ・マハディ派と武装解除を拒否したアイディード将軍派とが首都モガディシュで戦闘となり、また各地では他のクランを基とする武装勢力問の対立が進行していた。ソマリアには、冷戦期に米ソから持ち込まれた大量765