ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

発援助のあり方を模索しなければならない。国連総会は60年代以降、加盟国の構成や意思決定手続きの上で南側が有利である。この事実は確かに国連の実行性を削ぎ、時代遅れだと非難される点でもあるが、南側の国が意見を述べ、他の先進国と同じ一票で意思決定に参加出来るという利点がある。この利点を利用し、南北の建設的な対話を進めていがなければならない。3.4.人類全体の安全保障機関として国民国家が相対化されていく中で、従来国内管轄事項とされていた人権保障や犯罪対策が国際問題化している。この節では安全保障を従来の国家の安全保障よりも広く人類、さらには個々人の安全確保と定義し、「刑事犯罪対策」、「開発と平和維持」、「軍縮と安全保障の確立」という3つの側面から論じていくことにする。そこでは国連を人類全体の安全保障機関として位置付け、この目的を達成のするために国連が果たすべき役割を指摘することになるだろう。3.4.1.国際犯罪対策犯罪対策については、国連で、国際組織犯罪対策のための条約策定の作業が本格化しつつある。麻薬問題についても1998年6月には国連総会麻薬特別会期で需要削減対策、麻薬作物根絶対策、覚醒剤対策などが議論された。今後国連はテロなどの多様なアクターを含んだ国際的犯罪を取り扱う場として利用されるようになるだろう。この点で注目に値するのが国際刑事裁判所の設立である。1998年7月17日ローマにおいて国連主導によって国際刑事裁判所の設立に関する条約が採択された。裁判所の設立は憲章改正によるものではないことから、国際司法裁判所(ICJ)のような国連機関とは区別される。しかし常設国際刑事裁判研の設立は国連がグローバリゼーションの中で果たしつつある大きな役割を示している。中世以来、刑事犯罪の訴追は国家の基本的な権限であった。国際犯罪に関しては国際刑事法が存在したが、それは国際的な司法協力を意味するものであって、「引き渡すか訴追せよ」の原則に従い、あくまで国家単位で処理されてきた。ところが、常設国際刑事裁判750