ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

報技術革命などによって引き起こされていることはいうまでもない。こうした中で非アメリカ、非西洋の地域では価値の押し付けであるとして反発が起きつつある。この現象は西洋による植民地経験のある国々だけに留まらない。カナダやフランスにおける文化政策をみればこれは明らかであろう。価値としてのグローバル化そして二つめ、三つ目の傾向を総括すると、グローバリゼーションに関する議論は現象の説明だけでなく規範的な(価値追求的な)側面も含んでいるといえよう。例えば経済のグローバル化はリベラルな観点からは市場の拡大を意味し、現在起きつつある現象の説明だけでなく、追求すべき価値でもある。価値追求的主張には反作用が伴っている。経済のグローバル化に対しては南北問題の深刻化という反論ができるし、人類社会の一体化(標準化)に対しては、多様性の尊重を主張するものが現れる(3)。2.2.経済的グローバリゼーション具体例としてグローバリゼーションの諸側面を列挙する際に、真っ先に挙げられるのが経済面でのグローバリゼーションである。これは、資本、生産、労働、市場が地球規模に分散し、経済が世界を一つの単位として動くようになるという事実を指す。ここではひとまずモノとカネのグローバリゼーションについて簡単に触れてみる。モノの移動に関するグローバリゼーションは、「国際貿易の進展」とほぼ同義であるが、国際貿易と国際分業によって人類はその労働生産性を飛躍的に向上させてきた。この点では、グローバリゼーションは大航海時代以前から徐々に進んできた。しかし現在では、輸送手段の加速化にともなって、貿易は単なる商品の交換に留まらない。商品生産において国内での部品調達率がどんどん低下し、国境外からの調達割合がますます増加している。カネ、すなわち金融のグローバル化には幾つかの要素が含まれている。居住者による外貨建て金融取引の活性化、オフショア市場の創設と成長など国際金融制度の競争活発化、金融機開の相互乗り入れの活発化などによって居住者・非居住者間が金融上、密接に結び付いていき、その結果として、「世界全体で1つのグローバルな金融市場が存在する」ようになることだといえる(4)。742