ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

そして情報の各市場の、国家の境界を超えた拡大である。・・・自由な市場と解放された国境は、一般的に言って善である。だが、経済の地球規模での統合によって、均等に、あるいは同時期に、誰もが恩恵を被るわけではない」と明言する。(#1)ところで、グローバリゼーションを加速する重要な要因の一つは、米国防総省で開発されたインターネットという新しい情報技術である。「インターネットの世界では、資本主義や民主主義が、最も楽観的な見方をするひとたちの予測をはるかに上回る速度で広がっている。インターネット通信とは本来、人々に選択の自由を与え、希望する相手との交信を可能にするテクノロジーだ。ネットで結ばれる自由な世界では、理想的な社会や共通の利益を持つコミュニティーがいくつも出現し、個人は選択の自由を獲得していく」と、マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏はインターネット効果を強調する。(#2)ただし、このような情報技術の恩恵がいかに大であろうとも、確かに言えることは、「優勝劣敗の世界」の影の部分が鮮明に浮かび上がってきており、経済の“正”のグローバリゼーションの恩恵に浴せない多くの国々では、すでに国家主義的ないし孤立主義的な巻き返しや、敗者となった個々人の非合理的・反動的な動きが起こっていることである。このような反動的な動きは今後何度も起こり、「政府と政治家たちを、自国の境界を越えた広い利害関係者層の要求に対して、より敏感にする」(#1)だけに、鋭い国際政治問題の議論を提起し、前途に暗い影を投げかけて経済の発展が立ち往生する可能性はある。従来、国家が負担してきた自国の弱者や敗者の人道的救済は、グローバリゼーションの世界的流れの中で「小さな政府」を志向する国家にとって、予期しなかった重すぎる負担となり、経費削減のもとに切り捨てられる可能性が大である。また経済のグローバリゼーションの潮流は、世界最強の経済力と唯一効果的な軍事力を誇る米国にとっても、世界市場の動きをコントロールすることは到底不可能であり、世界のパワー・ポリテックスにおいて、市場と連動し多様化する世界各国の動きに対応した外交スタンスを適確に取り、確保するのはきわめて困難である。事実、いわゆる「ホット・726