ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回佳作?国家の役割の相対的低下と不安定化、個人の心理的不安と社会的疎外自由主義、資本主義の名の下に急速に進行する経済のグローバリゼーションは、その推進グループが従来の伝統的・文化的共同体であり市場統一体である閉鎖型国家に対して、グローバル・スタンダード(国際標準)と公正な競争、規制緩和と障壁排除を激しく要求するあまり、主権国家との間でその統治能力、伝統文化と習俗に絡んだ深刻な利害対立を顕在化させた。それは国家の市場における役割の相対的低下と、国民の国家共同体に対する帰属意識の低下をもたらし、さらに国家共同休の秩序と信頼を劣化させた。その結果、個人の日常生活における安心感は失われ、将来に対して明るい展望を描けない人々は、所属社会に対する一種の失望感と自己疎外感に悩まされている。?“負”のグローバリゼーションの進行経済のグローバリゼーションの結果、深刻化する地球温暖化現象のように、地球環境の破壊に伴い生態系のバランスが崩れることが原因となり、ちょっとした小さな災害をきっかけとして大災害を引き起こし、その影響が国境を越えて地球規模の大災害を誘発する傾向が一段と強まっている。一方、グローバリゼーションの進展に伴って、短時間に世界を駆け巡る金融資本の動きや、ちょっとした地域紛争が政治的経済的混乱と擾乱の引き金となって地球規模の金融危機や、政治的・民族的・宗教的紛争にまでエスカレートする、いわば、“正”に対する、“負”のグローバリゼーションの進行が認められる。2.グローバリゼーションの光と影冷戦構造の終結は、直接には社会主義政権とその世界観の劇的な崩壊により、資本主義の勝利を意昧するものであり、その結果、発展途上国も社会主義化による発展の夢を絶たれたため、自国の産業化と経済の発展を図るためには外国資本を受け入れて自国の市場を外国の企業に解放するほかに進むべき道がないことを覚った。いま世界中の国が最も高い関心を示しているのは、経済のグローバリゼーションの行方とその対応策である。未来社会学者のアルビン・トフラー氏は、「これは端的に言い表すと、資本、商品、サービス、労働、725