ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回優秀賞いわゆるバトル法の行使がなされてきたのだが、共産圏という西側諸国にとっての共通の敵という団結要素がなくなった現在、そのような動機付けにあたる中核国と参加国との二次的な求心力はますます不可欠のものとなった。運営委員会がこれに該当する外交手段として、相互安全保障体制という形での防衛援助、また平和目的の拘束性が強い技術開発の援助や民需転換への技術援助などが考えられる。特にチェコなどはCFE条約による軍備破壊として展示品としたり戦車を消防車に改造するという苦しい対応をせまられており、民需転換を助ける大国の技術援助は参加国の協力を促進するだろう。このような構造が円滑に機能すれば、将来的に兵器拡散減速から一歩踏み込んだ軍縮段階を考えるときに運営委員会が他の輸出国の民需転換への技術を援助し、また既存の兵器破壊のコストを負担するといったような協力体制が期待できよう。さて、ここでいわゆる悪党国家などと呼ばれている一部の懸念国はどのような位置づけをしたら良いのであろうか。湾岸戦争後の通常兵器管理に関するガイドラインの先進国の交渉では中国は米国がF-16型戦闘機150機を台湾に売却すると発表したのに抗議して交渉をボイコットし、各論段階において交渉は決裂した。このように懸念国への輸出による運営委員国同士での軋櫟は同委員会内での求心力に深刻な影響を及ぼしかねない。そこでまず問題となるのは、一体何をもって懸念国と定義するかということである。米国の論理で言えば悪党国家とは国際秩序を守らず、国際体系の周辺に位置する国で、通常米国の「テロ支援国リスト」に載っている国や国連の制裁の対象となっている国である。そのうち国連の制裁対象になっているイラク・リビア・セルビアに加え、ワッセナーアレンジメントにおいて先進国が厳格な規制を行う共通の認識となっているイラン・北朝鮮に対する各国の同意は比較的容易であるにしても、さらに米国が主張するキューバやスーダンへの段階においては各国の利益や事情の違いが錯綜する合意の難化が予想される。中東に対する認識を考えてもロシアは自粛姿勢を見せてはいるものの完全に兵器供給のつながりが途切れたわけではなく、また欧州と米国との間でも規制すべき中束の範囲についての同意は困難であろう。従って上719