ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

で公共性をもつものであると言えよう。国連弱体化の多数の指摘が叫ばれている近年においても、参加国数と活動の正当性において国連を凌駕する機構は現段階では見当たらないのである。その国連の機動力を最も阻害してきたものがP5の拒否権による交渉の頓挫であることはもはや共通の認識である。大国と小国が一堂に会してグローバルな軍備管理について協力し会うことは不可能なのだろうか。ここでは90年代初頭において国連が軍備管理に関して大きな寄与をしたと思われる国連軍備登録制度の成果とその課題についてあげておく。国連軍備登録制度<概要>武器移転に対する意識は国際連盟に端を発するが、1988年にコロンビアが通常兵器の公開制に関する決議案を提出し、国連総会で採択されてから実現に向けての動きが本格化した。そして国連軍備登録制度発足の大きな要因となったのは、90-91年の湾岸戦争である。イラクは湾岸危機前にソ連、フランス、中国などから大量の兵器を調達しており、このような兵器の移動を察知することができれば戦争前に早期警戒態勢をとり攻撃国を牽制することができたのではないかということが教訓として痛感された。これらを踏まえて戦争時に資金協力しかできなかった日本と、英国とオランダを中心とするEUが協力してイニシアティブをとり、1991年の国連総会において初めて国連軍備登録制度を創設する決議案が成立した。加盟国は毎年4月30日を期限として大量破壊兵器を除く前年1年間分の兵器移転を国連事務局に登録する。兵器の移転だけを登録するのは情報が足りないとの指摘に考慮し、国内生産を通じた調達と軍備保有については自主登録という形になった。ただし拘束力をもたない総会決議のため、これらの登録は義務ではない。<目的>侵略や大規模な攻撃をもたらす攻撃用兵器の国際移転を毎年国連に通告することにより通常兵器移転の透明性を高め、加盟国の信頼醸成に寄与し、不安定な情勢を察知して早期710