ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第9回優秀賞ろう。しかし、第一に被害を最小に食い止めるためには民族対立、社会の不安定化、武器流出などの火種ができる前にいろいろな形で当時国の援助、もしくは処罰をしなければならない。経済的、政治的、財政的制裁も必要だ。それだけでなく、教育を通じて民族間、国家間の融和に努めなければ、国連の究極の理想である戦争の撲滅にはまず至らないといえよう。Ⅲ.各機関の変革とその役割[A]総会国連の中心的機関が総会のはずであるが、実際の権限は非常に少ない。総会の仕事といえば、話し合いに宣言、勧告の採択のみである。迅速な処理が必要とされる場合はさておき、理事会の一部の国のみが重要議題を討議し、採決するというシステムは最良の物とはいえないだろう。改革の第一歩として、私は総会が世界の平和と安全に関する問題に対する基本方針を多数決によって決め、各理事会はそれに沿った行動のみが行えると言う規程を挙げたい。国連の具体的活動案は必ず一部の国のみ参加する各理事会によって決められるため、多数派の意見を無視した決定が行われる恐れがあるからである。第二に、これからは今まで国内法だけでは裁けなかった戦争犯罪人を裁く為の刑法、武力行使の方法を制限する戦争法、環境保全のための環境法などが必要とされてくる。そしてそれらの国際法の立法権を総会に持たせるべきである。なぜならば、従来の国際法(条約)の問題点はその強制力にあった。大国が法を破った場合小国がそれを罰するのはほぼ不可能であり、軍事的手段によらない制裁には世界中の協力が必要であることは湾岸戦争で示された通りである。あの時ヨルダンから運び込まれた物資は経済制裁の威力を大きく凌ぎ、とうとう軍事力の行使に至った。その教訓を生かして参加国の協調を守るためにも国連が違反国に対する強力な制裁機関として働くような仕組みを導入するべきだ。67