ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第9回優秀賞をも含む全世界に飛び火しないとはだれも断言できないのだ。長い年月と挫折を経て今の先進国は人口抑制を果たし、そして環境保護の重要性を認識した。だが、その時にはすでに南極上空のオゾン層には穴が空き、大規模で無責任な開発のために自国の農業、漁業は大きな打撃を受けていた。これから開発を進めていく第三世界の諸国が先進国と同じ轍を踏み続けるなら、それは彼等のみではなく、全世界の破滅となろう。[F]秩序回復期における混乱冷戦は集団安全保障の名において行われた権力と平和の争奪戦であったと私は思う。平和を嫌う人々や民族はいない。ある者は武力によって平和を勝ち取ろうとし、またある者は自分の平和を守るため他を排除した。二つの陣営も互いの存在を拒否し、自分の考える在るべき平和の理想像を求めて鎬を削った。そしてその結果は平和でなく、混沌と危険を秘めた新無秩序だったのである。国連は世界平和と安全、平等を原則とする諸国間の友好関係の発展、あらゆる差別の撤廃と自由、人権などの保全を目的とする運動の中心となるべく創設された。国連が今までそれらの運動の中心となり得たかは別としても、今程、国連の役割の重要性が問われた時期はない。これからの国連の課題はいかに自らを変え、世界を理想像に近付けていくために中心的役割を担っていくかということだ。Ⅱ.国連の理念[A]意見調整機構から平和維持機関へ国連の今までの最重要任務は各国、特に米ソ二大国の意見を調整することであった。冷戦の間世界はその二国に取り仕切られ、国連は隅に追いやられた格好となっていた。アメリカ大統領とソ連共産党書記長の決定が世界の大半の国の決定になったわけであるから、国連がその力を発揮できるのはごく限られていたのである。その膠着状態の崩壊は信じられないほどの速さで進行し、今日世界は新たな局面を迎えるに至った。敗者のロシア(旧65