ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「冷戦後の新時代における国連の理念と役割」重松優Ⅰ.冷戦後の現状と認識[A]冷戦の終局1990年の夏に始まったペルシャ湾での湾岸危機は、今までとは違ったタイプの武力衝突であった。冷戦時代の典型的なパターンであった二つの超大国の対立といった構図に発展せず、ほぼ世界が多国籍軍として団結しイラクと戦ったのである。その理由は無論のことソ連の没落にあるのだが、その後のソビエト連邦の崩壊へと続く、これが冷戦の終末であり、ブッシュ大統領にいわせれば「新世界秩序」の始まりであったのだろう。真の国際協力が可能となった新時代の到来である。[B]勢力均衡ソビエト連邦は1991年末、69年の歴史に幕を閉じた。ミハイル・ゴルバチョフの改革は彼の望んだ通りには運ばず、最悪のシナリオ=連邦制の崩壊という形で終わった。東欧の共産主義諸国の崩壊から始まった民主化は、遂にソ連という大国も打ち倒してしまったのである。ゴルバチョフの改革は決してアメリカの風下に立とうとしたものではなかった。彼は数々の妥協をしたが、肝心の軍縮についてはアメリカとのバランスをとり万一の事態が起こっても十分に対応できる程の戦力を残すつもりであった。しかし、ロシア連邦大統領であるエリツィンは軍事レベル、ひいては政治レベルにおいてのゴルバチョフとの違いを1992年6月の米ロ首脳会談の時明確に表した。従来から戦略核ミサイルにおいては、アメリカは潜水艦発射多弾頭ミサイル(SLBM)の分野で優位に立っていた。前述の米ロ両国共ICBMの全廃に合意し、アメリカのみがSLBMの半減を約束した。これは一見アメリカのほうが譲歩をしたようであるが、最も62