ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回佳作から改革案が提出された。会計監査の総監査室の設置、会計基準の確立、職員管理規約の改正、査定制度と内部異議申し立て手続きの改正などである。しかし、各機関の改革の動きは鈍く且つ不徹底であり、内部努力では有効な改革ができないことを示している。もう一つの重要な問題、各機関の間の業務の重複と縄張り争いからくる無駄と非能率については、まだ充分な分析が行われておらず、具体的な改革案が出されていない。労働者の安全・衛生の問題はILOが扱うのかWHOか、排気ガスや化学物質による汚染の衛生問題はUNEPなのかWHOかなど、境界をはっきりさせることの困難な問題は多いが、一方では、例えば社会的・経済的に大きなインパクトを与えているエイズ問題についてWHOが他の国連機関の協力を呼びかけたように、いくつかの専門機関が共同で活動しなければならない複雑な問題は増加している。このために各専門機関の間の調整を行う有効なシステムと強力なリーダーシップが必要になっている。そして経済社会理事会(ECOSOC)こそがその任を背負わなければならないものと考えられる。現在、任期3年の理事国54カ国で構成される経済社会理事会は、安保理と違って強制措置をとる権限もなく、各専門機関とも”緩い結び付き”しかもっていない。この理事会を、監督・指導のできる強力な組織に変革することによって、業務の効率化のための調整が図られなければならない。その一つの案としては、アメリカ国連協会の委託で世界の専門家と有識者がまとめた「国連の事務管理と意志決定過程の研究」の提案がある。この研究は増大する地球規模の問題を扱うシステムの必要性、国連全体の調整と合同計画の必要性を指摘し、これらの任務を遂行する強力な機関として、各国から派遣される閣僚級の理事で構成する閣僚理事会の設立を提案している。また、国連問題を調査する合同監査グループのモーリス・ベルトランの案では、安保理と同格で並ぶ「社会経済安全保障理事会」を設立することを提案している。現在の理事会を整理して、GNPが世界の総生産の2.5パーセントを越える国、または人口が一億人を605