ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回佳作2.国連改革世界の安全保障のために国連の果たす役割が重要視されるにつれ、その動きは必然的に国連組織の改革にも及んでいる。そして戦争抑止に必要な軍備を持ち、事態の平和的解決を図るために国連軍と安全保障理事会を改革しなければならないという考えが、より現実的になっている。戦う国連軍国連憲章はその第42条で、「安全保障理事会は・・・国際の平和及び安全の維持または回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる」と定めており、それに基づいて今までも平和維持軍(PKF)を紛争地に派遣してきたが、特に冷戦下では米ソの思惑によって活動に制約を受け、充分な紛争抑止力を発揮することができなかった。1992年に、ブトロス・ガリ国連事務総長は国連の活性化、機能強化のための報告書「平和への課題」で、平和執行部隊構想を提示した。これは高い戦闘能力を持った本来の国連軍(第43条の規定するもの)ではないが、侵略に対して強制措置のとれる、従来の平和維持軍より重装備の常設軍を国連の指揮下に置き、紛争地のどちらか一方の要請があれば派遣できるとするものである。1993年3月の安保理では、ソマリアへのPKF派遣について、国連憲章第7章の規定する、平和の破壊および侵略行為に対する武力強制措置を実施することと、紛争当事者の同意なしにPKOを派遣することを決議し、戦う国連平和維持軍を実現させた。そして同年6月にはこれをボスニア・ヘルツェゴビナにも適用した。この「戦う国連軍」への動きは、軍事費の肩代わりを期待するアメリカの強い支持を受けてはいるが、他の国連メンバーの間でも紛争地域でも賛否両論が沸き上がっており、現実に軍を派遣された紛争地では国連軍批判が噴出している。ガリ前事務総長の提案する平和執行部隊について、これを支持する意見は「(統一的に訓練され、行動準備を備えたこうした部隊は)地域紛争や基本的正義の違反、武器と国際テロの拡散を防ぐのに役立つだろう」と言い、また「今後の国連に望まれるのは、より専601