ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

そういう政治を今まで何ともし得なかったこと、そして正義を失った勝手放題の社会を作ってしまったことに、良識ある国民は悲観し、閉塞感に襲われている。今、米ソ二極構造が崩壊し、日本が世界から新しいリーダーとしての役割を求められている時に、残念ながら、日本はその役割を充分果たせる立場に立ってはいない。日本が今行うべきことは、与野党も国民も一致して、国内政治と行政の改革を断行して、国民と世界が信頼し得る国の体制をつくるとともに、安全保障を含めて日本が世界のために何が出来るかを真摯に考え、平和と開発の理論を確立して、明確な主張を持って世界の中で働くことである。1.世界情勢の変化冷戦の終焉1985年、ソ連にゴルバチョフ書記長が登場して以来、米ソの核戦力廃止・戦略武器削減交渉が進展し、東西冷戦は急速に終焉に向かい、これによって世界大戦の危険は遠のくことになった。ソ連ではそれまでに抱えて来た多くの内部矛盾が、ついに1991年ソヴィエト連邦の崩壊をもたらし、戦後46年続いた米ソ二極構造が崩れることとなった。これによって東西対立の危険は確実に避けられる見通しが立ったものとみられる。しかし他方では、従来二極構造の中で処理されていた歴史的紛争地域に対して、米ソの重しが取れたことにより、今まで共産主義体制で統治されていた連邦と周辺地域、米ソの軍事支援で支えられていた中近東、アフリカ、アジアの国々において分離・独立の動きが始まり、民族的、宗教的、領土的起因の紛争を勃発させることになった。東欧におけるボスニア・ヘルツェゴビナ問題、中近東におけるイラン・イラク関係、パレスチナ・イスラエル関係、アジアにおけるカンボディア、南北朝鮮、台湾問題、アフリカにおけるソマリア、モザンビーク問題などいまだに収拾のつかない問題やこれから火種となる問題が顕著化している。これはヤルタ協定で列強が設定した勢力圏が東西冷戦のもとで維持され、長い間押さえ598