ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

序4この財団は佐藤総理を記念するために設立された財団であります。7年8ヶ月続いた佐藤政権が退陣してから既に40年あまり経過している現在、当時の状況を振り返ってみるのが必要だと思います。この数年毎年のように総理大臣が交代しているような時代には想像も出来ないほど、政権は安定し重みもありました。無責任な批判は出にくく、また、目先の人気取りをする必要もない状況の中で、総理は自分の信念を貫き、大局的で将来も見据えて大胆に内政・外交両面に亘って政策を展開されました。また、当時は政治と行政の連携が円滑で全行政機関が巨大なシンクタンクの機能を果たし、役人も誇りを持って献身的に仕事をしていました。総理はこのシンクタンクから上がってきたその時々の問題点の分析や対策をじっくり聞いて、最後は自ら決定され、自ら責任をとられる理想的な形で国政が運営されていました。長期的に安定した政権でありましたので、沖縄の本土復帰など内政外交両面に亘って大きな業績を残されましたが、その一々について触れることはいたしません。ただ、世界は当時日本をどのように見ていたかについて振り返ってみたいと思います。第2次世界大戦敗北により廃墟と化した国土を見事に復興させてたすごい国である、戦前の軍国主義的な国家から平和指向の民主主義国家に生まれ変わった国である、国際約束は律儀に守る信頼出来る国である、また、立派にやっているにもかかわらず対外的な発信が少ないと言うのが大方の見方であったと思います。勿論自虐的に日本の悪い点を言い立てる人はいましたが、世界の大方の見方は高くなっていたと思います。このような環境の下で、1974年秋、佐藤総理はノーベル平和賞を受賞されました。ノーベル委員会は授賞理由として次のように記しています。「The reasons the Nobel Committee gave for awarding the Peace Prize toEisaku Sato were that as Japanese Prime Minister he represented the willfor peace of the Japanese people, and that he had signed the nuclear armsNon-Proliferation Treaty(NPT)in 1970. In the committee’s opinion, theaward to Sato would encourage all those who were working to halt thespread of nuclear arms」また、朝日新聞社が発行した「佐藤栄作日記第6巻」のノーベル賞受賞理由の脚注には「授賞理由は、佐藤に代表される日本の和解政策が太平洋地域の安定的条件作りに貢献したこと。核兵器非保有の主張と核拡散防止条約調